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目が覚めると僕は、病院のベッドに寝かされていた。
体のあちこちが、包帯とギプスでグルグル巻きにされている。右足にいたっては、天井から垂れ下がった布に支えられて、ブラブラと宙に浮いていた。
「うう、気分が悪い」
全身の痛みのせいもあるが、それよりなにより二日酔いがひどい。脳が割れそうだ。
「だ、大丈夫ですか?」
女の子の声。
でも姿は見えない。二日酔いの幻聴か。
「あの、こっちです。こっち」
左の方から声がする。ギプスのせいで首が動かないので、僕は目だけで声を追った。
……そこにいたのは、昨夜の女の子だった。
やっぱりかわいい。
バカみたいな感想が、頭の中に浮かんだ。
「昨日はありがとうございました」
女の子はペコリと頭を下げた。
「い、いや」
もっと気の利いた言葉を言え。僕は自分に怒った。
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