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「知り合いかね。今の子は」
次に病室にやってきたのは、見覚えのある医者だった。
「先生には関係ありません」
何てこった。よりによってあのヤブの病院だったとは。
「誰にせよ、あの子には感謝しないと。君を助けたのは、あの子なのだから」
「やっぱりそうですか」
「男がチンピラに襲われている、と言って、大人をたくさん呼んで駆け付けてみたら、ボロボロになった君が倒れていたんだそうだ。救急車を呼んだのも、あの子だよ」
これじゃあ、どっちが助けられたんだか分からない。
「最初に君が、女の子を助けたんだそうだね」
「聞いたんですか」
「それは嬉しそうに教えてくれたよ」
僕は、少なからず罪悪感を覚えた。
僕が女の子を助けたのは偶然、というか事故だったからだ。チンピラだって、撃退したわけじゃない。勝手に気味悪がって逃げただけだ。
「まるで恋人の事を語っているようだった。正直、私は君に嫉妬した」
何を言っているんだ。このロリコンめ。
やっぱり医師連盟に苦情を入れておくべきだった。
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