骨折5

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「知り合いかね。今の子は」 次に病室にやってきたのは、見覚えのある医者だった。 「先生には関係ありません」 何てこった。よりによってあのヤブの病院だったとは。 「誰にせよ、あの子には感謝しないと。君を助けたのは、あの子なのだから」 「やっぱりそうですか」 「男がチンピラに襲われている、と言って、大人をたくさん呼んで駆け付けてみたら、ボロボロになった君が倒れていたんだそうだ。救急車を呼んだのも、あの子だよ」 これじゃあ、どっちが助けられたんだか分からない。 「最初に君が、女の子を助けたんだそうだね」 「聞いたんですか」 「それは嬉しそうに教えてくれたよ」 僕は、少なからず罪悪感を覚えた。 僕が女の子を助けたのは偶然、というか事故だったからだ。チンピラだって、撃退したわけじゃない。勝手に気味悪がって逃げただけだ。 「まるで恋人の事を語っているようだった。正直、私は君に嫉妬した」 何を言っているんだ。このロリコンめ。 やっぱり医師連盟に苦情を入れておくべきだった。
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