骨折5

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「……いつ退院できますか」 僕は出来るだけ不機嫌そうに質問した。 「そうだね、三ヶ月は絶対安静だな」 三ヶ月か。長いなあ。 「会社に連絡を入れておくといい。あと、生命保険会社にもな」 なるほど。名案だ。 「では、私はこれで失礼するよ。何かあればナースコールを使いたまえ」 スリッパをペタペタと鳴らしながら、先生は病室を去った。 僕は辛うじて動く右手で、さっそくナースコールを押した。 看護婦さんはすぐにやってきた。 「どこか具合でも?」 「いや、ちょっとお願いがあるんだ。そこに引っ掛けてあるスーツのポケットから、メモ帳を出してほしい」 看護婦さんはポケットをゴソゴソとまさぐり、メモ帳を探し当てた。 「ありました」 「そこに『会社と生命保険会社に連絡』と書いておいて下さい」 「すでに『生命保険に加入』と書かれておりますが」 「それは消してもいいです」 「分かりました」 看護婦さんはスラスラとメモを書いた。 「『医師連盟に苦情』とありますが、これは」 僕は少し考えて答えた。 「二重丸で囲んでおいて下さい」 看護婦さんは変な顔をしながらも、指示通りにメモを書いてくれた。
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