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それから何日か経った頃。
僕は同期達からかなり遅れて、新人研修の成果報告をやり直す事になった。
「入りたまえ」
「はい」
「では準備を」
僕はノートパソコンを起動し、テキパキとプレゼン用の資料を開いて、成果報告を始めた。
カチコチと音を立てながら、時計の針が進んでいく。
長針が円の半分くらい進んだところで、報告は終わった。
「以上で報告を終わります」
「うむ」
上司はとても満足気だった。
「いやはや、君がこんなに優秀な人材だとは思わなかった。この前とは見違えるようだ」
「ありがとうございます」
僕は礼を言った。
「病気……いや、体質だったか。あれはもう治ったようだね」
「そういうわけではありません」
「む、そうか。まぁ、そんな事はどうでもいいんだ。優秀な部下が出来て、今日はとてもめでたい気分だ。どうだ、帰りに飲みにでも行こうじゃないか」
僕は少しだけ考えて答えた。
「ぜひ、お供させて下さい」
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