骨折9

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「あの日。君の『特異体質』以外にもう一つだけ、あの子に伝えた事がある」 一体何だっていうんだ。僕はゴクリと息を飲む。 「あの子にも、タイムマシンが必要だったんだ」 僕は、ヤブ医者の言っている意味が分からなかった。 「あの子、君の見舞いに来始めてから、体調が悪そうだっただろう。だから何度か、私が診察をしたんだ」 そういえば、目眩がするとか言っていた気がする。 「『脳が安堵や幸福を感じた時、身体の免疫力が著しく低下する』。これが検査の結果だった」 「な、何ですって?」 ちょっと待て、頭が混乱してきた。 「『幸せになると死んでしまう』と言った方が、分かり易いかもしれん」 「じょ、冗談はやめてください! SF小説じゃあるまいし!」 唾を飛ばしながら、僕は吠えた。 「『歩くSF』みたいな君が言える事かね」 僕は思わず閉口した。 自分の事を、すっかり棚に上げてしまっていた。それぐらい僕は動揺していたのだ。
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