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「あの日。君の『特異体質』以外にもう一つだけ、あの子に伝えた事がある」
一体何だっていうんだ。僕はゴクリと息を飲む。
「あの子にも、タイムマシンが必要だったんだ」
僕は、ヤブ医者の言っている意味が分からなかった。
「あの子、君の見舞いに来始めてから、体調が悪そうだっただろう。だから何度か、私が診察をしたんだ」
そういえば、目眩がするとか言っていた気がする。
「『脳が安堵や幸福を感じた時、身体の免疫力が著しく低下する』。これが検査の結果だった」
「な、何ですって?」
ちょっと待て、頭が混乱してきた。
「『幸せになると死んでしまう』と言った方が、分かり易いかもしれん」
「じょ、冗談はやめてください! SF小説じゃあるまいし!」
唾を飛ばしながら、僕は吠えた。
「『歩くSF』みたいな君が言える事かね」
僕は思わず閉口した。
自分の事を、すっかり棚に上げてしまっていた。それぐらい僕は動揺していたのだ。
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