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「私とあなた、どちらが『特異体質』であろうと、関係ないわ。どちらかがそうである限り、いい事なんかあるはずがないの」
僕は反論できなかった。
「私たちみたいな人間は、人を愛するべきじゃないのよ」
そんな事は、中学生の時から分かっているつもりだった。
「分かっているさ! でも、どうしようもないんだ! こんな気持ちは、初めてなんだ!」
「私に怒らないで! 分かっているなら、何で来たのよ!」
「好きだからだぼっ!」
『ポキリ』
僕は自分の叫び声と、左腕の肘のあたりが真っ二つに折れる音を、ほぼ同時に聞いた。
「きっ、君のためなら、死んだっていい……!」
左腕の激痛に耐えながら、僕は絞り出すように呻いた。
誇張なんかじゃなく、本心から出た真実の言葉だった。
「……死にましょう」
「え?」
気の抜けたうつろな表情で、彼女はそう呟いた。悲しみを含んだ切ない視線が、僕に釘付けになる。
「一緒に死ぬの」
彼女は僕の右手を握り締めた。そのまま僕は、彼女の家の中へと導かれた。
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