骨折10

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「私とあなた、どちらが『特異体質』であろうと、関係ないわ。どちらかがそうである限り、いい事なんかあるはずがないの」 僕は反論できなかった。 「私たちみたいな人間は、人を愛するべきじゃないのよ」 そんな事は、中学生の時から分かっているつもりだった。 「分かっているさ! でも、どうしようもないんだ! こんな気持ちは、初めてなんだ!」 「私に怒らないで! 分かっているなら、何で来たのよ!」 「好きだからだぼっ!」 『ポキリ』 僕は自分の叫び声と、左腕の肘のあたりが真っ二つに折れる音を、ほぼ同時に聞いた。 「きっ、君のためなら、死んだっていい……!」 左腕の激痛に耐えながら、僕は絞り出すように呻いた。 誇張なんかじゃなく、本心から出た真実の言葉だった。 「……死にましょう」 「え?」 気の抜けたうつろな表情で、彼女はそう呟いた。悲しみを含んだ切ない視線が、僕に釘付けになる。 「一緒に死ぬの」 彼女は僕の右手を握り締めた。そのまま僕は、彼女の家の中へと導かれた。
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