骨折11

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僕は死ぬ。 いや、僕たちは死ぬ。 僕たちは。 僕たちは……! 『バキバキッ』 「うぎゃあぁっ!」 拳銃を持っていた右腕が、肘のあたりで二つに折れた。握力を失った右手から拳銃が滑り落ち、床にゴトリと転がる。 「……なっ、何をしようとしていた……」 「え?」 僕はくるりと後ろに振り返り、彼女と向かい合った。 「僕は今、何をしようとしていたっ!」 「えっ? えっと、自殺を……」 そうだ、自殺だ。取り返しのつかない事をしてしまうところだった。 僕は……いや、僕たちは、この不幸な境遇に酔っていた。自らを、悲劇の主人公に仕立て上げてしまったのだ。 「ぐがっ!」 僕に冷静さを取り戻させたのは、この痛みだった。憎んでも憎みきれない不幸の元凶が、僕たちを救ったのだ。 僕は生まれて初めて、このにっくき『悪友』に心から感謝した。 「だめだっ!」 「はっ、はいっ!」 いきなり怒鳴る僕に、彼女はわけも分からず返事をした。 「だめだ、だめだ、だめだ、だめだっ!」 僕はあらゆるものに対して怒った。 引き金を引こうとした自分、一緒に死のうと言った彼女、人生の失敗を全て『特異体質』のせいにしようとした自分、幸せの意味すら知らずに『特異体質』から逃げ出そうとした彼女。 ……その他、あまり関係のないものに対しても、僕は半ばヤケクソ気味に怒鳴り散らした。
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