939人が本棚に入れています
本棚に追加
僕はその日、人生初の居酒屋で、人生初のヤケ酒をあおった。
「うぃー……。店長、熱燗もう一杯」
「お客さん、大丈夫ですかい?」
店長は心配しながらも、僕に新しい燗を差し出す。
「らいじょうぶに見えますか僕が。全然らいじょうぶじゃありませんとも!」
そうだ。大丈夫なわけがない。こんな体、大丈夫なわけが。
「あっしは儲かりますから別にいいんですがね。……ちょっと、お客さん? お客さん!」
「うーん、ムニャムニャ」
僕は半分眠りながら、今までの人生を振り返ってみた。この特異体質に気付き始めたのは、いつ頃だっただろう。
最初のコメントを投稿しよう!