―記憶屋―

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茜は額に汗を浮かべ、8月12日が開かれたカレンダーに右手の人差し指をあてていた。 蛍はそんな状態の茜の肩に手を乗せて目をつぶり、う~んと唸っていた。 朝よりも人通りが多くなっている。 とは言っても他の通りと比べると、人はいないに等しい。 窓から差す日が少し暖かくなってきた。 そう、今は昼なのだ。 「あの~……そろそろ……?」 「もうちょっと待って下さい。まだ何も見えなくて……」 「……はい……」 茜は指にぎゅっと力を入れた。 これを一体何時間やればいいのやら…… (流石に疲れてきたなぁー……) 蛍は焦りの表情をしてまだ唸っている。 こんな状態になったのは今より数時間前の事であった。
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