6741人が本棚に入れています
本棚に追加
朝早いので、風が吹かなくてもかなり寒い。
茜は昨日宣言した通り、明朝記憶屋を訪れていた。
コンコンと何度も扉を叩いても中から返事は返ってこない。
「勝手に入っちゃいますよー……。知らないですよー……ってか、普通鍵閉まってるよね?」
ハハと笑いながらドアノブを捻ると、ガチャリと音をたてて扉は開いた。
不用心だなぁ、とぼやきながら中に入る。
中は冷え切っていて、人がいるようには感じられない。
とその時、部屋の隅から寝息が聞こえたので、そちらへ足を運んだ。
「寝てるし……」
隅には机があり、そこに蛍がつっぷしてすうすうと寝息をたてていた。
ちゃっかりと毛布まで羽織っている。
それを見た茜は問答無用に叩き起こした。
最初のコメントを投稿しよう!