―記憶屋―

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「お~き~ろぉっ!!」 揺さ振り続けて10分ぐらいたった頃、蛍はやっと目を覚ました。 「ふぁ~……おや?いらっしゃい。何か疲れているみたいですね?」 「誰でも疲れると思うけど……」 げんなりとした表情のまま続けた。 「こんな所で寝て家には帰らなかったの?」 「店の2階に住んでいるんで。帰るって言うものではないんです。それに此処で寝てたのにはちゃんと理由ありますから」 「理由……?」 茜は怪訝な顔をして聞いた。 「おれ、朝起きるの苦手なんですよ。2階で寝てたら誰も気付きもしないだろうけど、1階なら誰かしら起こしてくれるでしょう?」 いやいや、そんな得意げに言われても…… 「――で、詳しい事とは何ですか?」 「あー……そうだったね。じゃ、まずはこの紙に記入して貰えますか?」 そうだったね、って忘れてたんだろうな……
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