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「いらっしゃいませ。お客様ですよね……?」
突然後ろからかけられた声に驚きバッと振り返ると、茜と同い年ぐらいの少年が立っていた。
漆黒の髪と目が印象的な少年で、彼の肌は透けるように白い。
モデルのように整った顔には、柔らかな微笑を湛えている。
しかし、そんな外見的特徴よりも、少年の持つ不思議な雰囲気に圧倒してしまう。
「いらっしゃいませ、って事はこの店のバイトさんなんですね!?」
一人納得して頷く茜を少年はキョトンとした顔で見て、ふと笑みをこぼした。
「バイトではなく、これでも店主なんです」
「え……?てっ、店主!?」
茜は少年の顔をマジマジと見た。
どうみても、店主をするような年には見えなかったのだ。
「ちょっと待って!貴方、私と同じぐらいの歳だよね?学校は?店主って、冗談?」
矢継ぎ早に質問を浴びせる茜を見て少年はクスッと笑うと、扉を開け、店内を指差した。
「まぁ立ち話もなんですから中へどうぞ」
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