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茜は、物心ついた頃から人とは違う能力を持っていた。
――瞬間記憶能力。
ようするに、一度でも見聞きした事は忘れない能力である。
幼い頃は分からなくても、年齢が上がるにつれ、自分は人とは違う存在なのだと毎日のように意識するようになっていった。
―――化け物。
そう呼ばれるのも、いじめに合うのもしょっちゅうであった。
しかし、理解ある両親と、そんな能力など気にせず接してくれる一部の友人達のお陰で、異能と言うべき力を持ちながらも楽しく、充実した日々を過ごす事が出来た。
そして、それが毎日のように、永久に続くのだと思っていた。
もしかしたら、そうだったのかもしれない。
――そう、あの忌まわしい事件さえ起こらなければ……。
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