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「……分かりました。この話、引き受けましょう」
少年は微笑みながらスッと手を差し出した。
「契約はまた後日と言う事で、まずは挨拶と致しましょうか」
握手しながら続ける。
「おれの名前は夕星 蛍(ユウズツ ケイ)です。この店には他にバイトが二人いますが、今日は居ないので今度に紹介しますね」
「……私は宮崎 茜」
握手を解き、グスンと鼻をならす。
「これからお世話になります」
そう言うと、深々と頭を下げた。
挨拶が終わると、蛍は紙で埋もれた机の上にある木製の時計をちらりと見る。
あれ――っ?
あの時計は時間合ってる。
こんなに沢山時計あるのに、正確な時間が分かる時計ってあれだけなのかな?
つられて時計を見た茜は涙のたまった目元を手で拭い、フフと小さく笑う。
その様子を目に留めた蛍はホッと安堵の息をつき、ニコニコと柔和な笑みをこぼした。
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