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あの日、僕が傍に居ればこんな事にはならなかった?
何度同じ事を考えて、それを打ち消したのだろう。
「はぁ」
僕は大きな溜め息を吐いた。
「こらこら、溜め息ばかり吐いてると幸せが全部逃げてくぞ?」
「うわぁっ!!」
突然視界が暗くなると長い髪を垂らした女の子が逆さまに覗き込んで来た。
「ちょっとっ!!こんな可愛くていたいけな少女を目の前にして『うわぁっ!!』は無いでしょう!?」
彼女はそのままの体勢で不機嫌も露<アラワ>に声を大きくし、顔を更に近付けてきた。
彼女は一条誠<イチジョウセイ>。
聖のお姉さんだ。しかも一卵性の双子。
二人を見分けることが出来る人は殆どいない。
「誠……、いきなり現れないでよ……。びっくりしたよ」
ていうか、可愛いくていたいけ…って自分で言うこと?
「いきなりではないぞ?5分くらい前からあんたの背後に居たからっ!」
5分も前から………?
誠……。
「そんなに暇だったんだ……」
「誰が暇ですってぇ?私はこれから部活ですぅっ!!」
「えぇ?じゃあ何で5分も僕の背後に居たの?」
因みに今は前の席の椅子を勝手に拝借して座っている。
「え~?だって弄り甲斐のある顔で座ってたから、つい!!」
………もう、何も言うまい…………。
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