第1章 夜

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「もーハクシャクサマは人使いが荒いんだからー」 ヨハンは城の前に広がる墓場の上空を飛んでいた。 ヨハンはグラド伯爵より墓場の警備をまかされており、いつも墓場の巡回に明け暮れている。 ヨハンはいつものように墓場を周り変化がないかチェックして、グラド伯爵に報告をする。 これまで何千回何万回の報告に異常があったことはないがグラド伯爵に逐一報告するように言われている。 なので、きっちり一周した足でグラド伯爵に報告する。 大抵は機嫌が悪くものを投げられてしまうが。 今回も異常がないと分かっていながらも墓場を低空飛行する。 しかし、墓場の住人兼警備係たちは異常のサインをだしていた。 墓場の住人は人型をしているが身にまとう布どころか体中がぼろぼろだった。 そんな者たちが墓場にたくさんいるのだが、そのうちの何人かが腕をのそりのそりと振っていた。 「どうしたの?」 「あーあぁーうーあうぅぅぅー」 「え?人間の女の子?どっちにいったの?」 一人がゆっくりと城を指した。 「わかった!」 ヨハンはすいーっと城に向かってはばたいた。
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