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少女は城を見上げた。
地面から塔が生えて、その塔から塔が生えている木ような構造で頂上が見えない。
目の前には高さが自分の3倍はあるような扉がある。
扉を開くような取っ手などがないので扉を叩きながら叫んだ。
「すいませーん!開けてくださーい!」
しかし、扉の向こうからは反応がなく、何度か叩いたり叫んだりしたが変化はなかった。
これだけ大きな扉なのだから叩いても叫んでも向こうに届いてないかもしれない。
これだけ大きな城だからとしばらく反応がないか待っていたが、やはりなにもなかった。
「……広場の人たちに聞こう」
振り返り、広場の方をむくと人が立っていた。
……しかも鼻先がぶつかりそうなくらい近かった。
「わわっ!!」
慌ててさがったが今度は扉に背中をぶつけてしまった。
その人は顔や腕などいたるとこを兜や鎧で覆っていたが、胸の形やや露出した腰のくびれで女性だとわかった。
「あ、あの、こここの城に入り、たいんです、けど」
女性の顔は兜で隠されて表情は読み取れない。
女性は少女の隣、扉の前に立ち扉を押した。
扉はゆっくりと開き、城の玄関が現れた。
叩いてもびくともしない扉があっさりとあいてしまったことに少女は唖然としていた。
「……。ハッ!あー、えっと、入っていいんですか……?」
少女は玄関を眺めながら女性に問いかけたが、女性の方をむくと彼女の姿はどこにもなかった。
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