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少女は玄関で立ちつくしていた。
玄関は音が鳴るものがなく、不気味な程静かでそわそわしてしまう。
「ふむ。あなたの事ね」
声の方を向くと壁際にメイド服の女性が立っていた。
「あ、あの、わ、わわわたし」
「もうすぐ、城の主が参りますので少々お待ちください」
そう言うと少女が入った扉とは反対の、中へと続く扉の横に立った。
少し間があって、メイド服の女性はそっと扉をあけた。
「こちらが我らが城の主、グラド伯爵にございます」
開いた扉の奥から男の絶叫が徐々に近づいている。
「こらああああああああああああああああああああああ」
部屋の中に飛び込んできたのは正装の男性とコウモリだった。
「きゃー」と言いながら飛びまわるコウモリはおそらく先ほどのコウモリだろう。
メイド服の女性はそっと扉を閉じた。
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