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絶叫して部屋に飛び込んできた男――グラド伯爵はしばらくコウモリをおいまわしていた。
「おい!この!とまれえええええええええ」
「キャーキャー」
少女は唖然と光景を眺めていたが、光景にだんだん目が慣れてきた。
なにげなくメイド服の女性を見た。
最初に会ったときから少し気になっていたが彼女に違和感を感じた。
メイド服からのぞく腕や顔は陶器のように白く、漆黒の髪を後ろで団子にしている。
そして、表情には全く変化がない。
陶器のように、というよりまるで陶器でできているような顔だ。
彼女の表情が変化しないかとながめていたら、目が合ってしまった。
少女はあわてて目を反らしたが横目でちらりメイド服の女性を見た。
……やは表情は真顔のままだった。
「グラド伯爵。そろそろ本題に入られたらよろしいのでは?」
絶叫しながらコウモリを追いまわしていたグラド伯爵はメイド服の女性の言葉にピタッと止まった。
「……わ、わかっている。おい貴様!別の部屋で話を聞こう」
メイド服の女性が「こちらです」と再び奥へと続く扉を開けた。
イワンは「キャーキャー」と騒ぎながら円を書いて飛び回っていた。
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