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むか~し昔、あるところに四人の可愛い女性…じゃなくて少女達がいました。
って“可愛い”も半分当たってないんだけど…。
彼女達は、性格も外見も考え方も、みんなバラバラでした。
例えば、今年真っ白なTシャツが流行るとするでしょ?
そしたら、流されやすいキレキャラの茜は、迷わず真っ白なTシャツを着るはず…。
そして、型にハマらない個性派のジュリーは、流行りなんかに目もくれず、最初から誰も着ないような地味な色のTシャツを着るの。
そして、反逆児で皮肉屋の紅葉は、流行りに逆らうように真っ黒のTシャツを着るって訳。
そして、私は…。
その真っ白なTシャツを流行らせる張本人になるはず…。
ってのは、冗談。
でも、私以外の紹介は間違ってないでしょ?
私達は、かつて悲しい事や辛い事、すべてを一緒に乗り越えてきた親友同士だったの。
そして、私達は二年前に約束を交わしたんだ。
二年後の成人式に、タイムカプセルを掘り起こそう…って。
だから、私はこの桜の木の下で、あの子達を待ってるって訳。
もう、かれこれ三時間は待っている。
私が居なければ、本当にあの子達はまとまらない。
困った奴等だ。
この日を楽しみに、2年間を過ごしてきたのに…。
私は、彼女達をずっと待ち続けた。
一時間過ぎても半日過ぎても、日付が変わる一秒前までも、ずっと待ち続けていた。
だけど、彼女達は日付が変わった後も、現れなかった。
現れるはずがなかった。
あの子達と連絡が途絶えた時から、分かっていたのに…。
残念ながら私達の友情は、あの二年前の別れの半年後、呆気なく自然消滅したのだった。
私は、サビかけたシャベルを持って、タイムカプセルを埋めた場所から、ゆっくりと離れた。
そして、何度も夢に描いていた感動の再会を果たせなかった私は、静かに涙を流したのだった。
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