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私は、紅葉。
18歳だった私も、今では23歳になってしまった。
五年という年月はあっと言う間に過ぎた。
気分は、まだまだ18歳なのに…。
私が、高校生の頃仲良くしていたあの子達とは、あの別れから初めて訪れた夏に、再会を果たした。
少しだけ遅めのお盆休暇に入った私は、美鶴と二人で短い夏休みを一緒に過ごした。
美鶴とは、他の二人以上の深い絆を感じていた。
完璧な夏だった。
一日の大半を美鶴と、美鶴の彼氏のパトリックと三人で過ごして、何でも語り合った。
あの時の私は、仕事の事や人間関係の事で、すごく悩んでいた。
でも、パトリックと美鶴は私の愚痴を、嫌な顔一つせず聞いてくれた。
そして、私達の楽しい夏はあっと言う間に終わった。
私達の関係が変わったのは、その後からだった。
なぜなら、茜が隼人君とできちゃった結婚をしたからだ。
茜達は、まだ学生だったため、結婚式を挙げるお金がなかった。
だから、式はしないで籍だけ入れた。
それから、茜はだんだん私達と連絡を取らなくなってしまった。
それに続いて、今度はジュリーが絵画で大きな賞を受賞した。
そして、ジュリーは本当に日本一有名な、若手の画家になってしまった。
美鶴はというと、彼女は結局この町に戻らず、東大の大学院に残ってしまった。
この町に一人取り残された私は、自分の夢を簡単に叶えていく彼女達に、くだらない嫉妬心を抱くようになってしまった。
そして、そんな自分が嫌になり彼女達と距離を置くようになってしまった。
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