五年後

3/12
前へ
/385ページ
次へ
やっぱり、私は彼女達から捨てられたのだ。 五年後の私の自己紹介が遅れたけど、私は今だにこの町でウエイトレスをしている。 そして、私の自慢のバギーパンツは、タンスの奥にしまってある。 私は、もうロックガールを封印したのだ。 そして、目の周りは黒のアイシャドウから、淡いブラウンのアイシャドウに変えた。 それに真っ黒なTシャツも、今はあまり着ないし、五年後の私はとにかく普通の女の子になってしまった。 昔は、常に無表情か不機嫌な顔をしているかのどっちかだったのに、今では愛想笑いまで簡単にこなせるようになった。 そして、私の父親は私が高校を卒業した後、飲んだくれの泥酔オヤジになってしまった。 私はというと、一人取り残されたこの町で、とうとう本当にひねくれてしまったのだった。 「すみませ~ん!!さっきワインのお代わり頼んだんだけど、まだなの?」 すると突然、不機嫌な顔をした中年のケバいおばさんが、私にグラスを突き付けてきた。 私は、突き付けられたグラスを受け取ると、頭を下げた。 『申し訳ございません!すぐに、持って来ます。』 そう言って私が謝ると、ケバいおばさんは両手を腰に置いて、私をキッと睨んだ。 本当、金持ちの相手はうんざりする…。 私は、その場から急いで立ち去った。 そして、厨房に入るとオーダーを壁にかけた。 『すみません!5番テーブルの方が、ワインのお代わりを頼んでたみたいなんですけど!』 私がそう言うと、厨房に入ってきた同僚の松田さんが口を開いた。
/385ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加