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やっぱり、私は彼女達から捨てられたのだ。
五年後の私の自己紹介が遅れたけど、私は今だにこの町でウエイトレスをしている。
そして、私の自慢のバギーパンツは、タンスの奥にしまってある。
私は、もうロックガールを封印したのだ。
そして、目の周りは黒のアイシャドウから、淡いブラウンのアイシャドウに変えた。
それに真っ黒なTシャツも、今はあまり着ないし、五年後の私はとにかく普通の女の子になってしまった。
昔は、常に無表情か不機嫌な顔をしているかのどっちかだったのに、今では愛想笑いまで簡単にこなせるようになった。
そして、私の父親は私が高校を卒業した後、飲んだくれの泥酔オヤジになってしまった。
私はというと、一人取り残されたこの町で、とうとう本当にひねくれてしまったのだった。
「すみませ~ん!!さっきワインのお代わり頼んだんだけど、まだなの?」
すると突然、不機嫌な顔をした中年のケバいおばさんが、私にグラスを突き付けてきた。
私は、突き付けられたグラスを受け取ると、頭を下げた。
『申し訳ございません!すぐに、持って来ます。』
そう言って私が謝ると、ケバいおばさんは両手を腰に置いて、私をキッと睨んだ。
本当、金持ちの相手はうんざりする…。
私は、その場から急いで立ち去った。
そして、厨房に入るとオーダーを壁にかけた。
『すみません!5番テーブルの方が、ワインのお代わりを頼んでたみたいなんですけど!』
私がそう言うと、厨房に入ってきた同僚の松田さんが口を開いた。
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