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「んじゃ、部長の奢りで~」
渡邉が差し出したレシート
そこには今日、大量に買い込んだお菓子類が全て記入されている
「はぁ…二千円が吹っ飛ぶ…」
大山は財布から泣く泣く千円札を二枚取りだし、渡邉に渡した
「なぁ、部長。そんなことしなくても部費が余っているんじゃないのか?使いきらないと勿体無いぞ」
風紀委員との一戦が終わった後、心理研究部に当てられる部費は大幅に減った
しかし、使い道がないため、素子の言うように余りが出ている
「いや、これは部の卒業旅行費にでもしようかとね」
「ほぅ…ちゃんと考えているんだな。何処に連れていってくれるんだ?」
「夢の国と呼ばれるドリームランドにでもしようかなって」
「な、…国民なら誰もが知っているあのドリームランドか!?」
「んだよ黒木。大声出すなよ」
「すまん…ついな」
「素子さんが嫌なら別なとこに…」
「いや!いい!ドリームランドでいい!」
「あ、そ…」
皆、初めて見る素子の姿に戸惑いを感じた
素子は椅子から立ち上がり、落ち着かない様子で部屋をうろうろしだした
その目は子供のような期待に満ち溢れている目だった
素子の心の中は誰の目から見ても明らかだった
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