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ものすごい勢いで走りながら、今日のできごとを思い返していた。
レストランでは、ボーイの引いてくれた椅子のことや料理に手を付けない彼女に血相を変えて飛んできたボーイのこと。
電光掲示板の前では、愛のメッセージを周囲中に見られたこと。
一つひとつ思い返していくうちに、本当に恥ずかしくてたまらなくなってきた。
彼女も同じことを考えていたのか、赤い顔をしたまま黙り込んでいる。
俺たちはだんだんとスピードを上げて駐車場まで急ぐと、まるで誰かに追われているかのように、大慌てで車を発進させた。
『今夜はクリスマス・キャロルよりも彼女の声を聞いていたいな』なんて考えながら、ネオンきらめく街並を“わ”ナンバーのシビックが走り抜けて行く。
「ロマンチックなはずのクリスマス・イヴが、何だかとても疲れる夜になっちゃったね」
誰にというわけでもなくつぶやきながら、なんだか可笑しくてたまらない気持ちになっていた。
「ううん。とても素敵な夜だったわ。私、一生忘れない。いろんな意味でね」
笑いながら彼女が言った。
俺も彼女も声を出して笑いながら、「何だか2人らしくていいよね」なんて言い合ったりして・・・。
それから彼女の部屋で、彼女の手作りケーキにキャンドルをともして。
2人に似合いの安いシャンパンで、乾杯のやり直し。
プレゼント交換をした後は、朝まで・・・ムフフ。
そこの部分は今回は内緒(笑)
今にもこぼれ落ちそうな星空に見守られながら、イヴの夜は更けていく。
サイレント・ナイトは聞こえない・・・・・・。
Fin
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