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「あー…八戒、腹減ったー…」
力無くいつもの言葉を吐き出したのは、悟空。ここ5日間、何も食べていない。見えている景色もずっと遠くまで砂漠だけで、もしかしたらこの砂漠は永遠に続いているのかも…という錯覚に陥りそうだった。
「俺、きっと餓死するんだぁー…」
「あんなに沢山買い込んだ食料全部食っちまったの、お前だろーが…」
ジープの後部座席でうなだれている悟空の横で、悟浄も同じく空腹と戦っていた。
「なぁ、昨日の森で見つけた木の実、食っても平気かなぁ」
「やめとけ悟空。絶対腹壊すぞ」
いつもよりトーン低めの三蔵。
「そうですよ。まずこんな広い砂漠の中に、作った様な森があった時点でかなり怪しいですし…。それに、その色…」
八戒が不信に思うのも仕方ない。その木の実は、紫色に白色の水玉模様をしていた。
「なんか…赤と緑の帽子被った髭ヅラの兄弟が飼ってる、緑色した恐竜が食いそうだよな」
「…。でも俺もう駄目。死ぬ。いただきます!!」
3人の制止を無視し、悟空は怪しげな木の実を口いっぱいに頬張った。
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