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高山家を出た直哉は、先ず、のんきへ向かった。
「夏彦さん、おはようございます」
彼は、のんきの準備を始めようとしている夏彦に声をかけ、お辞儀をする。
夏彦は作業の手を止めて直哉の方を向き、チビ達はわんにゃん鳴きながら、直哉に飛びついてきた。
直哉はそんなチビ達に微笑みを返して、またチビ達をズッキュン・ドキドキさせている。
「おお、直哉君。おはよう。どうしたんじゃ? それより直哉君、まりなちゃんの様子がおかしいんじゃよ。昨日が特に酷くて・・・・何かあったのかのう? もう、店には来れない、とか言っておったし・・・・心配なんじゃよ」
本当に心配そうに尋ねてくる夏彦に、直哉は頭を下げた。
「あ、そのことだったらもう心配いりません。ちゃんと、まりなと話ましたし、まりなも元気になりましたから。色々ご心配をお掛けしてすみませんでした。多分、またお世話になると思いますので、宜しくお願いします」
直哉の言葉に、夏彦はほっと息を吐いた。「そうか。それは良かったぞィ! まりなちゃんは、もう元気になったのか。良かった・・・・」
彼の微笑む顔を見て、直哉も微笑んだ。
――誰からも愛されてるんだな、アイツ。
それは、彼が傍にいて一番良く解っていることだった。
そして、直哉は夏彦に向かって一言。
「あの、突然で申し訳ないのですが、御忙しい所恐縮です。ひとつ御願いがあるのですが、聞いて頂けますか――――?」
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