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「あ、俺。直哉だけど・・・」春人の声が聞こえたので、直哉が返事をした。
『えっ、直哉!? どないしたんや?』
春人の声のトーンが上がった。まだ、寝起きの声だが、非常に驚いている。
「あ、いや、ちょっと頼みたいことがあってさ・・・」
『ふーん、まあええわ。とりあえずソコ開けるから、上がりー』
「朝早くから、悪いな」
一言詫びを入れると同時にインターフォンが切られ、目の前の自動ドアが開いたのでマンション内に足を踏み入れ、春人の部屋へと向かう。
エレベーターを使い、春人の部屋に向かうと見知った人物。
部屋の前に、芳男が立っていた。
「おはよ」
「よう」
お互いぎこちない挨拶を交わす。
「直哉、俺に何か言うことあるんじゃねーの?」
沈黙を破るように、芳男が言った。
直哉は少し考えたが、先ずは侘びの言葉を口にしようと口を開いた。「芳男・・・・ゴメ―――」
「謝ってくれ、なんて言ってないぜ? まりなちゃんに、ちゃんと自分の気持ち言ったんだろうな?」途中で、遮られた。
「ああ。言ったよ」直哉は、真剣な顔で芳男に向かって言った。
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