最終話・プレゼント

62/87
前へ
/1333ページ
次へ
さてさて、直哉サイドはこのくらいにして、まりなサイドといきましょう。 高山家に1人でいても仕方ないので、早速まりなはのんきへと出掛けた。 お馴染みの道を行き、団地を横切り、商店街を抜け、緑の花公園にやってきた。 人間になった初めての日! もう、消えてなくなったりすることは無いんだ!! 安心して直哉の傍で――そして大好きなこの街で暮らして行ける。 そう思うだけで何時もの景色が、より輝いて見えた。 更に今日は『しあわせ日和』なのだろうか、とても良い天気だった。 「アレ?」 のんきの傍までやって来て、まりなは首を傾げた。噴水の傍にある可愛いお店は、開店の気配を見せない。それどころか、夏彦が店を閉めて帰ろうとしているではないか! 「爺ちゃぁ―――――ん!!」まりなが大声で夏彦を呼んだ。「お店は―――っ!? 今日はやらないの!?」 「おお、まりなちゃん」夏彦が手を振った。 良かった。先ほどの直哉の話どおり、まりな本来の元気を取り戻したようだ。 笑顔に輝きが戻っている。 夏彦が微笑んでいると、まりなが駆け足でのんきまでやって来た。
/1333ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10446人が本棚に入れています
本棚に追加