最終話・プレゼント

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まりなは淋しそうに、駅前に向かった。 親しい人や家族や友達が、誰も傍に居ないということは、何もかもがつまらなく見える。 おなかが空いたけど、1人で店に入って何かを食べよう、という気になれなかった。 独りって、こんなに淋しいんだ・・・・・・。 直哉が言っていた。独りは、嫌だ、と。 誰とも一緒に居れないコトが、こんなに淋しい気持ちになるなんて・・・・。 仕方無いので、直哉との待ち合わせ場所である、セントラル駅前にやって来た。 やたらと騒がしく、皆、早足でそれぞれの思いを抱えて歩いている。 噴水の傍に座って、ぼんやりと通行人を眺めた。 ――人間って、大変なんだなぁ。 皆、何かに追われてる。 皆、何かに向かっている。 仕事も大変だし、生きていくのも大変だし、ルナワールドに居るときは、何にも気にせず遊んでばかりいたけれど。 あぁ、そうか。だから、そんな人達の一時(ひととき)でも心の支えになるコトが出来る、オレ達が必要なのか。 まりなは、行きかう人々の群れを見つめながら、沢山の人が幸せになれますように、と願った。
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