第1話・着払いのプレゼント

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 風呂が嫌いなんて、一体どういう生活をしてきたというのだ?  この毎日風呂に入るのが習慣のような日本で、ましてや若い女子が、だ。  本当に一体、コイツ何者だ!?  もはや直哉に残された道は、放心するしかなかった。  その隙にまりながまた他の場所を物色しようとするので、こっちに来い、今すぐだ! とまりなの腕を掴み、キッチンの傍にある狭いバスルームに有無を言わさず引っ張り込んだ。  ドアを乱暴に開けて強引にまりなを連れ込み、自分の着替えを引き出しから引っ張り出し、まりなに押しつけた。 「シャワーの使い方くらいは解るな? ここで体を洗ってくるんだ」 「シャワー? それよりお腹空いたのだ」むうっと頬を膨らませ、上目遣いで直哉を見つめるまりな。 「お前、シャワーも知らないのか!?」 「ナニそれー? 食べれるの?」 「・・・・・・」  もはや、彼の口から発せられる言葉はなかった。  理 解 不 能────  この一言に尽きる。  これは大学の考査試験で全教科満点取るよりも、もしかしたら難しいことなのかも知れない、と彼は思ったそうな。
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