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暑さで参ってしまった頭が、目が、勝手に幻覚を見せている。
そう、疲れているだけだ。
もう一度眠ってしまえば夢から覚める。
やはり、これは夢だったのだ!!
開け放したブラインドをもう一度閉め、ベッドに投げるようにして身を横たえ夢の世界へと現実逃避を始める直哉を、あっさりと見逃してくれる筈はない。
そう現実は甘くないのだ。
彼はそれを今すぐ思い知らされることになる。
「にぎゃああああ!!」
バスルームの方から上がった悲鳴が、高山家の部屋中に響いた。
悲鳴の主は言うまでも無く、現在進行形でシャワーと格闘中のまりなだ。
「夢じゃ・・・・ないのかやっぱり」
直哉は力の抜けた身体を無理矢理起こし、重い足取りでバスルームの方へ向かう。
「直哉ぁ!!」
バスルームを飛び出してきたまりなは、こっちにやって来た直哉を見つけるや否や、彼に飛びついた。
「ふにゃあ~・・・・いきなり熱いお湯が・・・・ううう~!」
「ふ、ふにゃあ~って、お前なあ・・・・」
「嫌だよう!! オレ、お湯が苦手なんだよぅ。熱いのがダメなんだよぉ! 直哉ぁ・・・・」
裸で飛び出して来た上に、泣きべそのまりなを見て、直哉の脳は遂にキレた。
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