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「わかったのだ。じゃっ、早く作って欲しいのだ!」と、その直哉の言葉を聞いたまりなはあっさ直哉から離れた。
よほど腹が減っているのか。
しかし先程、ラーメンを生のまま散々食べていたのに。
まりなからようやく解放された直哉は、よろよろと起き上がった。
「ちょっと待ってろ・・・・ってオイ、お前、下――ズボン履いてないじゃないか! さっき渡しただろ! 早く履いてこい!!」
耳まで真っ赤になりながら、まりなの格好を見た直哉が怒鳴る。
先程も触れたが、彼は女性には全く免疫が無い。とにかく無いったら無いのだ。
触れられたりするだけでも苦手なのに、ましてやシャツ一枚(下着も着けているのかどうか…)なんて!!!
あ・り・え・な―――い!!
「だって暑い」しれっ、とまりなは一言で片付ける。
「おっ・・・・お前・・・・っ――!」
既に絶句状態の直哉。
頭が真っ白になり、血の気も引いてきた。
高血圧になったり、血の気が引いたりと色々と忙しい彼である。血管が切れないことを祈ろう。
「もういい。こっちだ」
どうやら何を言っても無駄だと感じたのか、ため息を吐き、まりなをキッチンへと連れて行く。
そして用意した丼にラーメンを入れ、沸かしておいた湯を注ぎ、冷蔵庫に入っていた最後の卵を入れ、蓋をしてまりなの前に置いた。
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