第1話・着払いのプレゼント

28/50
前へ
/1333ページ
次へ
  「わかったのだ。じゃっ、早く作って欲しいのだ!」と、その直哉の言葉を聞いたまりなはあっさ直哉から離れた。  よほど腹が減っているのか。  しかし先程、ラーメンを生のまま散々食べていたのに。  まりなからようやく解放された直哉は、よろよろと起き上がった。 「ちょっと待ってろ・・・・ってオイ、お前、下――ズボン履いてないじゃないか! さっき渡しただろ! 早く履いてこい!!」  耳まで真っ赤になりながら、まりなの格好を見た直哉が怒鳴る。  先程も触れたが、彼は女性には全く免疫が無い。とにかく無いったら無いのだ。  触れられたりするだけでも苦手なのに、ましてやシャツ一枚(下着も着けているのかどうか…)なんて!!!  あ・り・え・な―――い!! 「だって暑い」しれっ、とまりなは一言で片付ける。 「おっ・・・・お前・・・・っ――!」  既に絶句状態の直哉。  頭が真っ白になり、血の気も引いてきた。  高血圧になったり、血の気が引いたりと色々と忙しい彼である。血管が切れないことを祈ろう。 「もういい。こっちだ」  どうやら何を言っても無駄だと感じたのか、ため息を吐き、まりなをキッチンへと連れて行く。  そして用意した丼にラーメンを入れ、沸かしておいた湯を注ぎ、冷蔵庫に入っていた最後の卵を入れ、蓋をしてまりなの前に置いた。
/1333ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10446人が本棚に入れています
本棚に追加