第1話・着払いのプレゼント

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 むすっと口をへの字に結んだまま、彼は玄関に立った。そして乱暴にドアを開け、来客を見る。  そんな彼の服装は、パジャマ代わりに寝るときに使用しているくたびれたシャツとズボン。しかも寝起きだから、着こなしも若干だらしない。そして極めつけが寝癖のついたボサボサ頭に、少々怒りぎみ+半分寝ぼけた顔にズレた眼鏡。  こんな格好で出てくるのだ。来客をもてなすような格好とは、お世辞にも言えない。  そうして睨みつける様に(というか睨んでる)来客を見る。視線の先には大きなダンボールを抱えた運送屋が一匹。  彼の視線はジャンボサイズのダンボールの先に注がれている。  今までに届いたことも送ったことも無いような大きなダンボールであるから興味が湧いたのだろうか、珍しいものを見る様にしてダンボールを見つめている。 「あ、高山さんですね? これ、宅配便です」  ぼんやりとダンボールを見ている直哉に、運送屋の青年は、ニコリともせず声を掛けた。  そしてよほど重かったのだろう。顔を上げた直哉に運送屋の青年は、有無を言わさずそのままダンボールを押しつける。  なかなか強引なタイプの運送屋だ。
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