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「おーい、チビ猫!」
数時間後、家庭教師のバイトを終えた直哉は、ペットショップで買ってきた子猫用のミルクを温めたものを抱え、再び子猫の元までやってきた。
数時間前に降っていた小雨はもう止んでおり、雲間から月の光が差していた。
「アレ、誰かが飯でもやったのかな? それに毛布も・・・・」
誰かが置いたであろう、子猫用のご飯皿を見つけた直哉は首を捻った。それに誰かが被せたであろう毛布。
数時間前には、無かったハズなのに。
「まあ、いいや。これは俺からの差し入れだ。なっ、チビ猫」
温かいミルクを小皿に移し、子猫の前に置いてやる。
「みゅ~・・・・」
そっと頭を撫でてやり、微笑む直哉。普段では決して見せないような、純粋な優しい笑顔だった。
「ホラ。なけなしの金をはたいて買ったミルクだからさ、腹が減ったら飲んでくれよ」
直哉は子猫を抱き上げ、自分の側へと近づけた。すると、子猫は直哉の顔をペロペロ舐め始めた。
「ははは、くすぐったいな」嬉しそうに、子猫の頭を撫で続ける直哉。
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