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明るくなってきた月明かりに照らされた直哉は、空を見上げた。久しぶりに見る晴れ間は、夜間とはいえ心地好いものだった。
このところジメジメした天気が続いていたから、尚更である。
「綺麗だな。お前は目が見えないから、解らないかもしれないけど」
空を見上げた直哉が、チビ猫に向かって話し始めた。
にゅ~、と、チビ猫は返事をするように鳴き声をあげる。
「ハハッ、お前、俺の言ってることわかるのか? ・・・・って、そんな訳無いか」
はあっ、とため息をつく直哉。「な、チビ。お前、名前無いんだよな」
「みゅ~」
「何か、俺の言葉に返事してるみたいだな。お前、可愛いぞ」
頬を寄せて、チビ猫を可愛がる直哉。
「よし、俺がお前の名前をつけてやろう。うん、何がいいかな。緊張するな。何か・・・・こういうのって」じっと子猫を見つめ、必死に考える直哉。
しかし長い間あれこれ考えたが、なかなかいい名前が思い付かない。
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