第1話・着払いのプレゼント

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  「誰だよ!! こんな小汚いダンボールをしかも着払いで送ってくる奴は!!」  折角の休日、睡眠中に叩き起こされたかと思うと、計算外の出費までさせられるとは本当にろくな休日じゃない。あまりに腹も立ち(なんせ今機嫌悪いし)ダンボールをボコボコ蹴り倒したい気分にかられる直哉。  それもそうであるなと、彼の財布事情を覗いてくれた人には彼の怒りも多少はご理解頂けるであろう。  そう、彼の財布には今現在──九百十八円しか入っていない。先程までは、四千七百八十円も入っていたのに。  しかもまだ、給料日まで後一週間もあるのにも関わらず、残金九百十八円。財布の中身が千円以下なんて、可哀相で涙がでそうな程だ。  それなのにこんな訳の分からない着払いの荷物なんぞに、三千八百六十二円円も支払っている余裕など、何処にも無い!!  突然の出費をさせられ、憎いダンボールをこれから一週間分の食費に消えてしまったことへの恨みを込めながら、これでもか、とキツく睨みつける直哉。  いっそのこと送り主に不満のひとつでもぶつけてやろうと思い、伝票を見てみるが差出人の住所を見ても何も書かれていなかった。むろん、名前さえも。  ようするに、差出人不明なのだ。
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