第1話・着払いのプレゼント

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 直哉は驚いたまま、着払いで届いた段ボールの中から飛び出してきた少女を見つめた。  少女の容姿は団栗目で大きめの人なつっこそうな瞳。そして、なかなか整った――そう、どちらかと言えば可愛らしいと言った形容詞が似合う顔立ち。そして肩までの金髪に、薄汚れたかなりボロい衣服と汚れた肌。  顔だけでなく手や足もかなり汚れている。  他にもあちこちに黒い汚れなどが付着しているが、肌がなまじ白いせいもあって、それが異様に目立っていた。 「はろ~」  笑って手を振る少女──『まりな』。  そんな少女を直哉は、ただ目を開いて見つめるしか出来なかった。  それもその筈。届いた着払いの荷物から人間が出てきたのだ。  驚かない人間は居ない。  逆に、驚かない人が居るなら見てみたいものだ。
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