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庭に置いてある数々の盆栽は、手入れが行き届いている。
独り身である義雄(よしお)にとって、庭を彩る盆栽はまさに我が子のようだった。
ふむ…今日も見事だ。
朝起きて、一番に盆栽のチェックをする。
それが義雄の日課だった。
義雄はもうすぐ、60歳の誕生日を迎える。もう自分の歳を数えるのも面倒なのだが、知らないうちに年齢は積み重なっていくものだ。
年齢のせいか、足腰はだいぶ弱り、夕飯の買い出しに行くことさえ億劫になっていた。
俺も老いぼれと呼ばれるようになるのかねぇ…
気持ちはまだまだ若くても、体がついていかない。
義雄はそのことを寂しく感じていた。
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