第二十七章 火山の采配

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「あ…っ!?」     コツ…ッ     突然、セトから声が漏れた。     「ラテ、気をつけるの」     クルルに掴まって 体勢を立て直すセト。     「ごめんなさいトゥルース…」       「足元に注意ですわ  所々、でっぱりが…きゃ!?」     コツ…ッ   ステンッ!     セトに言った瞬間…   リアが次に転んでしまった。     ビタンと地面にダイブするリア。     「あっはは!  ライム、だらしないの」     クルルに笑われてしまった。     「くぅぅ~…  覚えてなさいよ!」     四つん這いで なみだ目で訴えるリア。       「…待って、アレ見てください」   するとセトが 目の前の洞窟を指さした。       火山の入り口。     岩の山から切り開かれ   中からは黒い煙と 真っ赤に燃えるような   シルエットが映し出される。       リアは急速に立ち上がった。       「…ここからは、一切  おふざけは無用ですわ…」         「こわいの…」       クルルが震えだし セトに抱きついた。   「トゥルース、大丈夫  わたくしと進みましょう」         「………………。」   一方、レンは先ほどから ほとんど、口を開いてない。     「レン…どうしたのかしら?」     思わず、リアが問う。     レンはずっと 山の奥を見つめて   「…この…さきに…  …おとうさんが…いる…。」   「…!」     やっと ここまで辿り着いた…。     「…いま…行くから…。」       レン達は立ち止まった足を 再び動かし       地獄への門を、くぐった。       それが     悪夢の始まりになると 知ろうとも。
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