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焼香を終えて、親父と一緒にエントランスにあるソファーに腰をかける
親父は一つため息をつき、懐からタバコを取り出す
「親父……」
「水咲が生まれてからは止めたんだがな……今日ぐらいは大目に見ろ」
「そうじゃなくて」
「やらんぞ。せめて、二十歳になってからにしろ」
「そうじゃない」
そういう問題じゃないんだ…
「…この建物、全面禁煙だ」
「む……」
親父は首を回して、禁煙マークを見つけると、取り出したタバコを箱にしまう
「世辞辛い世の中になったな」
「んなことで、余計にシリアスになんなよ」
そんなことをしていると、ショートカットの女の子…制服を着ているので、多分俺と同じくらいだろうか。が、話しかけてきた
「えっと、芹沢さんですか?」
「そうだよ。君は…海君かい?」
「はい、六神海(むつみうみ)です」
六神ということは、天地さんの娘さんかな?
やはり、父親の葬儀だけに、元気がない
海さんをボーっと見ていると、親父が肩をたたく
「で、こいつが陸だ」
「ども」
「あ…こんにちは、陸」
さっきの暗い表情とうって変わって、とても嬉しそうな表情をする
結構可愛いかも
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