47803人が本棚に入れています
本棚に追加
コンコン
詩織が誠の部屋の扉をノックし、返事を待たずに中に入る。
「おはようございます。誠さん、起きてくださーい!今日は出かけるんでしょう?」
「……おはよ~」
誠は体を起こすと詩織に挨拶した。
いつもなら誠を起こすのは由希の役目なのだが、今日は違う。
本日のデートを行うにあたり、由希から三つの条件を出されていた。
『…一つ。…なるべく家では顔を合わせない』
新鮮さを演出するためだそうだ。
『…二つ。…家から一緒に出かけるのではなく、待ち合わせをする』
その方がデートっぽくなるかららしい。
『…三つ。………デート中は必ず手をつなぐ』
これがデートと買い物の決定的な違いらしい。
最初は恥ずかしいと断ったのだが、また泣かれそうになり、誠は慌てて了承した。
「ほら、しゃんとして下さい。朝食に天ぷらとすき焼きを用意してありますから、冷めないうちに早く食べちゃって下さい」
なぜ朝からそんな重たいものを…。
誠はげんなりしながらリビングへ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!