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「セーーフ!」
なんとか予鈴前に教室にたどり着き、自分の席に安堵と共に荷物を置く。
「おはよー。今日はずいぶん遅かったな。いつもはもっと早いのに」
誠の姿を見つけた友人の牧原竜二が声をかける。
竜二は小学生の頃からの親友だ。
顔は上の下。決して悪くない。
しかしそんな顔をしているのに彼女が居たことが無いというのは、そのお祭り好きな性格が災いしているのだと誠は思っている。
「ん~、実は悩み事があってね。遅くまで考えてたら少し寝過ごしたんだ」
「悩み事ねぇ。俺にも手助け出来ることか?」
困ってきたら手を差し伸べてくれる。
こんな竜二の性格を誠は好ましく思っていた。
「そうだな。正直考えが煮詰まってたんだ。ちょっと長い話になるから昼休みに聴いてくれ」
「分かった。昼休みにな」
そう言って竜二は席に戻った。
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