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誠は山盛りに用意された朝食を鬼のような形相で食べ始めた。
「うぷ…!ごちそうさま…。じゃあ準備してくる…」
嫌がらせのような朝食を完食し、誠は自室に戻った。
「ぬぅ…、出かけると言うから誰と出かけるのか聞いたら『教えられない』なんて…。怪しすぎると思いませんか?綾香」
「ええ、姉さん。女の匂いがプンプンするわ…」
誠は昨夜、詩織達に今日出かけることを言っていたが、誰と会うか聞かれても絶対に口を割らなかった。
だから詩織は思った。
『体調が悪くなれば行かないかもしれない』
実際に嫌がらせだった。
「由希が前からクラスのお友達と出かけるって言ってたの、確か今日ですよね?」
「あー、なんかそんなこと言ってたわね。そんな事より、今は兄さんよ!」
由希は誠と日をずらし、前もって伝えていたので怪しまれることは無かった。
そんな二人の会話を由希はキッチンの陰に隠れて聞いていた。
…計画通り。
由希はほくそ笑んだ。
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