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「とにかく、遅くなってゴメンな」
気持ちが落ち着くよう、頭を撫でながら優しく言う。
「…待ってないよ……今来たところ」
そう由希が言った瞬間、ボリューム落として噂話をする周りの声が聞こえてきた。
(あの子、30分も前から待ってたよな!)
(ああ!可愛いから目が離せなくてずっと見てたけど、次々と10組くらいからナンパされて困ってたよな!)
(ああ!中には助けるフリして自分もナンパしようとするヤツまで居たしな!)
(それなのに彼氏を心配させまいと……。可愛いし、健気でいい子だな……)
(ヤベー……。俺もあんな彼女欲しいわ…。あの男羨ましすぎる……)
全て聞こえてしまった。
気のせいか、周囲からもの凄いプレッシャーを感じる。
「由希……」
誠が額に汗をかきながら由希の顔を覗き込む。
嘘がばれたことが気まずい由希は、フォローしようと必死に弁解する。
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