デート

9/56
前へ
/522ページ
次へ
「……あ、あのね。兄様を待つんだったら……三十分でも一時間でも一瞬なの!」 誠はその言葉に胸が熱くなるのを感じた。 「有難う、由希」 そう言うと、誠はまた由希を撫でる。 由希は嬉しそうに目を細め、誠の服の裾を小さく掴みながらされるがままになっていた。 (あの男が憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い) (殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる) (スネーク。指令だ!今から言うターゲットを二十四時間以内に……) 誠の背中にかつてないほどの悪寒が走る。 「ゆ、由希。とりあえず場所を変えよう!」 誠は由希の手を引き、脱兎のごとく逃げ出した。
/522ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47803人が本棚に入れています
本棚に追加