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(なに…?あれ。)
漏れ聞こえてくる会話にやきもきしていると、その中に聞き覚えのある声があった。
「要様!しばらくぶりです。私の娘を覚えていますか?」
「春恵です。お久しぶりです要様。」
その二人は要も知っているらしく、にこやかに応対していた。
要「あぁ、春恵さん、お元気でしたか?たしか、アメリカに留学していたとか。」
要に話しかけて貰った女の人は、顔を赤くしながら答える。
「えぇ、少し前に帰ってきました。覚えていて下さったなんて、嬉しいです!」
女の人を後押しするように、父親らしい人も話す。
「うちの娘は昔から要様が好きでして、この度ご婚約が決まったと知って、大層ショックを受けているんですよ。」
苦笑しながらも、言いたい事をズバっと話す。
その話し方に聞き覚えのあった私。
(どこでだろう?)と思い出していると、昨夜の電話の声なのを思い出した。
(昨日、要がいるかどうか聞いてきた人だ。)
確か、遅いとか早いとか訳のわからない事を言っていたのを思い出す。
(知り合いなんだ。)
要に、お見合いのように群がる親子。
その中に知り合いがいたとしても、しょうがないことは分かっている。
今日のパーティーには、要の親戚がたくさんいるのだから、以前親しかった人がいたとしても不思議じゃない。
そう考えて、鬱々としていると、又も肩を叩かれる。
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