39人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
えっ!?にわかに狼狽える私。
何故、ここを出て行かねばならないのですか?
そしてここを出て行ってどこへ行けと云うのでしょうか?神よ。
「現世では毎日、大勢の人間が死んでいる。死んだ者達はここへとやって来るのだが、天国にも定員と云うものがあってな、古い住人から現世へと転生しなければならないのだ。そして、お主の転生する番がやって来たのだ」
その時だった…私の脳裏に消えていた現世での過去の記憶が蘇った。
思えば不幸な人生だった。
受験地獄に追われた時代。
楽しくもない会社勤め。
破綻した結婚生活。
親の意を汲まぬ子供達。
そして、孤独に過ごした晩年と死…
この幸せな世界から追い出され、現世へと舞い戻る?考えるだけで恐ろしい。
あそこには戻りたくない・・・嗚呼!あそここそ地獄なのでは?・・・
私は神に頼み込む。頼むからここに居させてください、と。最後には涙まで出てきた。
しかし、神は無情であった。
「お主はこの天国で充分に幸せな時を過ごしたではないか。過去の現世でのお主の不幸は既に埋め合わせられた。さぁ現世へと生まれ変わるが良い」
泣き叫び懇願する私。
私は泣き叫んだ…
私は泣き叫んだ…
その私の体に激しいショックが走った。
そして私は意識を失った…
最初のコメントを投稿しよう!