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病院の通路で今か、今かと待ちわびていた男の耳に待望の泣き声が響いた。
病室から現れた看護士さん。
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。さぁ中へどうぞ。奥さまとお子さんがお待ちですよ」
男が病室へと中に入ると、妻がこの世に生を受けたばかりの泣き叫ぶ幼子をあやしていた。
「良く頑張ったな、お前」
「うふふ。見てください、あなた。この子の元気な泣き顔を」
「ああ、この子もこの世界に、僕達の元に産まれてきた事を喜び泣いているのだろう」
「あら、なら嬉し泣きをしているのかしら?」
妻が優しく微笑む。
男は不慣れな手つきで泣き叫ぶ我が子を受け取り、産まれてきたばかりの我が子を満面の笑顔であやしている。
幼子は泣き叫び続けた…
幼子は泣き叫び続けた…
私は泣き叫び……
私は…
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