100年後の教科書

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「終わりにするぞー。はい委員長」 担任がこのクラスで最初の帰りのHRを終え、委員長に挨拶を促す。 「起立」 委員長の声に続いてクラスメイトがまばらに椅子を引いて立ち上がっていく。 「おーい、誰か山田を起こしてやれ」 担任のその声でクラスの視線が窓側の一番後ろに注がれる。 隣の男子に小突かれて山田がけだるそうに立ち上がると、委員長が挨拶をする。 「交通に気をつけて帰りましょう。さようなら」 続いてクラス全員で、 『さようならっ』 高校生なのに、小学生みたいな挨拶を終えて放課後となる。 「じゃあな亮太っ」 廊下側の一番後ろ。その俺の席の後ろを、山田が物凄い勢いで走り去っていった。 部活の鬼だ。 高一高ニと続いてきた、いつもと変わらない毎日。 高三になってもそれは変わらず、やりたい事もやるべき事も見つからず、ただなんとなく毎日を過ごしていくんだろう。 この時はまだ、そう思って疑わなかった。
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