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マウンドの踏み心地を確かめながら,ホームでグローブを構えて待つ亮の元に投球練習の球を放つ。
もちろん,投球練習で本気の球なんて見せたりはしない。
お前も悔しかったんだな亮?
いつにもなく良い目をしている。
見てろよ皮かぶりの極悪先輩ども?
コイツらを倒せば俺たちは認められるんだろ?
…やってやるッ!
「ルールは簡単だ。
6人の優秀1年組から1人でも三振を取ったらお前らの勝ちだ。」
たった1人?
………つくづくバカにされたもんだな。
でも,今は余計な事は言わない方が良い気がするから黙っておこう。
「……分かりました。」
「よしッ,じゃあ始めろ。」
1人目のバッターがバッターボックスに立って構える。
よく見てろよお前らッ!
思いっきり振りかぶって,初球から全力で亮の構える所に向けて投げる。
バシンッーーーーーーーーー
バッターは全く動く事なく,俺の手から離れた豪速球は亮のグローブの中に埋まった。
どうだ,見たかお前ら?反応も出来てやしねぇじゃねぇか。
期待を裏切り,辺りを包む完全なる静寂。
俺の豪速球に対しての反応は一切ない。
「……ふんッ。」
いや,あった。
あのバッターの野郎,見逃しといて鼻で笑いやがった。
「ナイボー,ナイボーッ!
ちゃんと球走ってるよ京介。」
亮が俺に掛けた声で静寂が破られた。
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