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12月20日……今日は終業式。高校野球もオフシーズンを迎えてる。期末テストも終えて、情報処理、電卓、ワープロなどの検定試験も滞りなく終了…
生徒達が待ち望んでいた冬休み。夏休みほど長くはないけれど、クリスマス…大晦日…お正月……イベントの密度は濃い…
もちろん、私も例外じゃなく…楽しみにしてる…
「葵~」
教室へ向かって廊下を歩く私へと、声がかけられる。香奈だ。元気よく私の傍まで来ると、明るい笑顔を見せてる
「おはよ、香奈」
「おはよー。今日も寒いわね」
「うん……でも、今日でそれも終わりだよ」
「そうよね、これからは朝ゆっくり寝てられるし」
他愛もない会話をしながら私達は教室に入る。他の女の子達と挨拶をしながら席に向かう…
その時、女の子達が手に持つ雑誌の記事に思わず目が行く…
クリスマスに行きたい……デートスポット…?…
心の中で読み上げてみて、クリスマスが近いことを改めて理解する…
「クリスマスかぁ…」
「ん?…何?」
机の上に荷物を置いて、香奈と向き合った時…ふと言葉が漏れた
「いや、今年もクリスマスが来たんだなぁ…って」
「そりゃ1年に1回は必ず来るんだしね。葵はなんか予定入ってないの?」
「なぁんにも。香奈、一緒に遊ばない?」
「クリスマスに女2人で?…私はそんな寂しいの嫌よ」
香奈があまりにしれっと言うもんだから、私は少し驚く…
「え?…何?…香奈はもう予定とか入ってるの?」
「別に」
即答の上に、あまりに簡素な返事……私は思わず苦笑してしまう…
「な、何それ?」
「だって、クリスマスよ?…どうせならデートとかしたいじゃない」
私の頭にさっきの記事が浮かんだ…
「それはそうだけど……相手…いないし…」
「あんたは桐崎君がいるじゃない。誘っちゃえば?」
「そんな簡単に言わないでよ………健吾君と過ごせたら最高なのは、確かだけど…」
結局…いつもと同じように、家族で過ごすんだろうなぁ。そんな風に考えて、私は大きく溜め息を吐く…
段々と賑やかになっていく教室。その中で私と香奈は暗い表情に変わっていった…
かと思ったら……
「よし!…クリスマスパーティーしよう、家で!」
「………は?」
香奈がいきなりの提案をしてた……
私はしばらく、パチパチと瞬きしかできなかった…
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